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□状態：NGC-ＭＳ61（UNC-）

メキシコで1823年に発行された8エスクード金貨です。
アウグスティン・イトルビデは当時スペインの植民下にあったメキシコを、同国からの独立戦争の勝利に導いた指導者です。独立戦争に勝利したあと、推戴されてメキシコ皇帝アウグスティン1世として戴冠したのが1822年のことです。その後1822年と1823年にイトルビデの肖像がデザインされた8エスクードが発行されましたが、わずか2年でこのイトルビデのコインは終わりました。なぜなら1823年にイトルビデは失脚してしまったからです。
 
このような経緯でイトルビデの8エスクードは1822/1823年しか発行されておらず、大変希少なコインです。
 
このコインの状態はNGC社の評価でMS61ですが、同社の鑑定分布によりますと、この銘柄のMS以上は本貨を含め5枚のみです。（2021年2月現在）
以下ご参照ください。なおNGC社の「数字付鑑定」の総数は28枚です。
MS62:　2枚
MS61:　2枚　←ココ
MS60:　1枚
AU58:　5枚
AU55:　5枚
AU53以下：13枚
 
市場でこの銘柄の数字付コインを見つけることは困難ですが、本貨はその中でも上位4枚に入る極めて希少なコインです。
 
さてこのコインですが、拡大写真のように表面・裏面ともフィールド部分（なにも描かれていない部分）はプルーフライク（注）です。おそらく初期のダイ（刻印）で打たれたのだと思いますが、表裏ともキズも少なく美しいコインです。このコインは通常、この時代に造られた他の中南米コインと同様に打ちが弱いのですが、本貨はこの銘柄にしては強くしっかりと打たれています。裏面のタカのデザイン部分は打ちが弱く紋様がはっきりと出ていませんが、それでもこの銘柄にしてはしっかりと打たれています。
 
注）まるでプルーフコイン（鏡面仕上げされた贈呈用コイン）のように輝きが強いコインを、しばしば「プルーフライク」と表現します。
 
昨年から南米の大型金貨は相場水準を上げており、フェリペ5世やフェルディナンド6世はもちろん、1700年代のカルロス3世・4世、その後のフェルディナンド7世の8エスクードもすっかり水準が訂正された観があります。この銘柄も例外ではありませんが、それでもまだまだ同時代のヨーロッパの大型金貨に比べると大きく出遅れていて、いまだ割安感がある銘柄です。
 
なお先日アメリカで開かれたオークションで、本銘柄の年号違い（1822年）、PCGS-MS62がハンマープライス21,000ドル（消費税、オークション会社の手数料込みの総支払額ベースでは約290万円）で落札されております。