□状態:NGC-MS64(UNC+)
このコインはドイツがまだ多くの公国や王国に分かれていたころ、そのうちの一つブラウンシュバイク公国で作られた2ターレルの大型銀貨です。
肖像は当時の君主であるヴィルヘルム公爵(在位1830-1884年)です。ドイツのコインは銘柄数が極めて多く、一般に収集の対象になりにくいのですが、この2ターレルは例外です。本コインを含みドイツ諸邦(および現オーストリア)において、1837年から1872年まで本コインと同じ規格の2ターレルが発行されたのですが、銘柄数の合計は95銘柄に過ぎません。さらにこの2ターレルで特筆すべきはそのデザイン性です。裏面(紋章面)の拡大写真をご覧いただけるとお分かりのように、単にデザインが素晴らしいというだけでなく、刻印の精緻さも際立っています。このコインをみて、ゲルマン民族特有の妥協を許さない職人魂を感じます。よほど高度な技術とコインに対する思い入れがなければ、このようなコインを作ることはできません。さらに驚くのは、このコインが贈呈用に作られたプルーフ貨ではなく、通常貨だという点です。例えば同時代のイギリスやフランスでも、美しいコインはたくさんありますが、これくらい拡大しますと(たとえ初期打ちの個体でも)どうしても細部に粗というか、手抜きのようなものが見えてしまいます。日常使われるコイン(「通常貨」)としては、むしろそれが当たり前で、本コインやドイツ諸邦の2ターレルのほうが、むしろ“異常”なのです。少し大げさかもしれませんが、このコインを含む“南部ドイツ通貨同盟”規格の2ターレルは、「世界コイン史における美と精緻の頂点」ではないでしょうか。
なおこのコインは1842年から1850年まで造られ、総鋳造枚数は27万枚以上ですが、これは同時代のドイツ2ターレルの中では平均的な枚数です。なお1843年の鋳造枚数は約68,000枚です。
このコインはご覧のようにPCGS社の鑑定でMS64で、これは当時の2ターレルの中でもトップクラスの高状態です。ちなみに本銘柄でPSGS社鑑定を受けている個体は3枚のみ、内訳は1842年(MS64)、1843年(MS64=本個体)、1848年(MS66)です。
■サイズ:直径約41ミリ、重さ約37.1グラム、銀品位90%
なおアメリカの2大コイン鑑定会社のうち1社、PCGS社の鑑定済みケースに入っています。真贋はPCGS社によって保証されていますのでご安心ください。
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