□状態:NGC-MS62(UNC)
このコインはドイツがまだ多くの公国や王国に分かれていたころ、そのうちの一つザクセン=アルテンブルグ公国で作られた2ターレルの大型銀貨です。
表面は当時の君主であるゲオルグ侯爵(在位1848-1853年)です。ドイツのコインは銘柄数が極めて多く、一般に収集の対象になりにくいのですが、この2ターレルは例外です。本コインを含みドイツ諸邦(および現オーストリア)において、1837年から1872年まで本コインと同じ規格の2ターレルが発行されたのですが、銘柄数の合計は95銘柄に過ぎません。さらにこの2ターレルで特筆すべきはそのデザイン性です。裏面(紋章面)の拡大写真をご覧いただけるとお分かりのように、単にデザインが素晴らしいというだけでなく、刻印の精緻さも際立っています。このコインをみて、ゲルマン民族特有の妥協を許さない職人魂を感じます。よほど高度な技術とコインに対する思い入れがなければ、このようなコインを作ることはできません。さらに驚くのは、このコインが贈呈用に作られたプルーフ貨ではなく、通常貨だという点です。例えば同時代のイギリスやフランスでも、美しいコインはたくさんありますが、これくらい拡大しますと(たとえ初期打ちの個体でも)どうしても細部に粗というか、手抜きのようなものが見えてしまいます。日常使われるコイン(「通常貨」)としては、むしろそれが当たり前で、本コインやドイツ諸邦の2ターレルのほうが、むしろ“異常”なのです。少し大げさかもしれませんが、このコインを含む“南部ドイツ通貨同盟”規格の2ターレルは、「世界コイン史における美と精緻の頂点」ではないでしょうか。
なおこのコインは1852年だけしか造られておらず、鋳造枚数も僅か9400枚に過ぎません。銀貨の通常貨としては極めて少ない発行数といってよいでしょう。さらに本コインの状態はご覧のようにMS62で、この銘柄の平均以上はあります。このように鑑定に出してちゃんと数字が付いて戻ってくるコインはそう多くはありません。持っておかれてソンがないコインです。
■サイズ:直径約41ミリ、重さ約37.1グラム、銀品位90%
なおアメリカの2大コイン鑑定会社のうち1社、NGC社の鑑定済みケースに入っています。真贋はNGC社によって保証されていますのでご安心ください。
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