□状態:NGC-MS Strike5/5,Surface3/5(UNC)
アレキサンダー大王の急死後、中央アジアはアレキサンダーの部将セレウコスによって統治されました(セレウコス朝)。バクトリア王国はそのセレウコス朝から独立し、紀元前250年前後に建てられた国です。民族的には当時の周辺地域と同様、北部インド系もしくは中央アジア系だったと思いますが、バクトリアの統治層は、アレキサンダーがこの地に連れてきたギリシャ系でした。言ってみればバクトリアはアジア人の中にポツンと取り残されたギリシャ系の国だったといえるでしょう。本貨をみてもよくわかりますが、肖像はバクトリア王国の第6代の王様エウクラティデス1世で、ご覧のように顔はギリシャ系です。
紀元前のインド北部、中央アジアにギリシャ人の国があったのはなんとも不思議です。また彼らの血が現在のアフガニスタンやその周辺の人たちに引き継がれていると思えば、一人の武将アレキサンダーが果たした歴史的な役割の大きさを感じざるをえません。バクトリア王国の遺産はほとんど残されておらず、本銘柄を含むコインは古代バクトリアを知るための貴重な遺物です。
さてこのコインですが、NGC社の評価MS通り、使用された痕跡はみえません。エウクラティデス1世のヘルメットの紋様や羽根飾りの突起部分、ホホやアゴの盛り上がった部分など摩耗もなくきれいに残っており、この銘柄の特徴である立体感を楽しめるコインです。ヘルメットをかぶったエウクラティデス1世の表情もどこか近代的で、とても2200年も前に造られたコインだとは思えません。
ウラ面には騎馬の乗った双子の神様ディオスクロイが描かれていますが、摩耗しやすい馬の腰や脚などもきれいに残っています。なおウラ面に刻印されたギリシャ文字は、「大王エウクラティデス」と読みます。
このコインの発行からほどなく、バクトリアは内紛により弱体化し、徐々にインド人の海の中に埋もれてしまいます。この銘柄自体はさほど珍しいコインではありませんが、本貨のように状態の良い個体はそう多く残ってはいません。当時中央アジアにあったギリシャ人国家の姿を、今に伝える数少ない歴史的資料ではないかと店主は思います。
■サイズ:直径約32ミリ、重さ約17グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社であるNGC社の鑑定ずみケースに入っています。真贋は同社によって保証されていますのでご安心ください。
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