オンラインショップ「ときいろ」

□状態：NGC-AU Strike5/5,Surface3/5 (EF)

このコインは一般に市場でよく出てくる量産型「ふくろう君」ではなく希少なタイプです。アテネの「ふくろう銀貨」は造られた時期によって、以下のように大きく3期にわかれます。
 
■最初期（紀元前510年〜480年）
ペルシャ戦争以前に造られたコインです。まだアテネが東エーゲ海の覇権を得る前に造られたもので、造りは原始的かつ稚拙です。ただ現存数は極めて少なく、並程度の状態の個体でも100万円ほどの値をつける場合があります。
 
■移行期（紀元前465年〜455年）
ペルシャによるギリシャ侵攻は紀元前492年から始まりました。攻め入ってきた強大なペルシャ軍に対して、ギリシャの都市国家群はアテネを盟主とする「デロス同盟」を結んで対抗しました。ペルシャ軍の大規模な侵攻は複数回行われましたが、徐々に「デロス同盟」側が優勢になり、紀元前449年にギリシャとペルシャの間で和解が成立しました。

このコインはアテネが「デロス同盟」の盟主として徐々に経済力を蓄えた時期に造られたコインです。鋳造技術やデザインなどの点で、最初期の「ふくろう銀貨」にくらべ格段の飛躍が見られます。出現頻度は最初期のものより高いですが、決してありふれたコインではなく、下でご紹介する量産期のものが10枚出てくれば、この移行期のものは1枚出てくるかどうかいったところです。取引相場も高く、VF程度の状態のコインでも店頭価格は30万円を超えます。

このコインの標準的な状態はVF（美品＝並）程度で、量産期コインと比べ摩耗が進んだものが多いです。デザインという点からみれば、ふくろう君が少し首をかしげているのが特徴で、そこがこの「移行期型ふくろう君」のチャームポイントです。量産期のものと比べると、決して洗練されているとは言えませんが、その“手作り感”がまたコレクターを引き付けます。
 
注）本貨を鑑定したNGC社は、古代コインの状態を右のように格付けします、UNC(未流通)＞AU(準未流通) ＞XF(極美品) ＞VF(美品) 、以下　F＞G＞P、
なおご覧のように本貨に対するNGC社の評価はAUです。
 
■量産期（紀元前440年〜404年）
3度に及ぶペルシャ戦争の結果、アテネを中心とした「デロス同盟」側が最終的な勝利を得たあとに造られたもので、デザインや造りなどの点で洗練が進んでいます。このコインは古代ギリシャを代表する銀貨ですが、それだけに多く残されていて入手は容易です。一般に市場にでてくるものは、この量産期のものです。
 
さてここからがこのコインのご説明です。
上記のようにこの「移行期型ふくろう君」は、首をわずかにかしげているところが特徴で、なんともかわいらしい表情です。このコインのふくろうの面は、ご覧のようやや左寄りに打たれています、右側と下の土手はきれいに出ていますが、左と上の土手はありません。それでもふくろう君自体が欠けることなく打たれており、全体的には良い状態です。くちばしのあたりの出っ張った部分は摩耗していますが、羽や胸元の羽毛にはほとんど摩耗がありません。上記のように移行期のコインには使い込まれたものが多いですが、本貨はNGC社の評価AUに値するといえるでしょう。
 
表面（おもてめん）のアテネ神はほぼ中央に打たれていて、ヘルメットの羽はコインに収まりきれていませんが、ご覧のように鼻やアゴなどは余裕をもって収まっています。全体的に摩耗が少なく、アテネ神の髪の流れも摩耗せずに残っていて、わずかにほほ笑む女神の顔立ちが魅惑的なコインです。ふくろう君のアテネの微笑は一枚一枚微妙な違いがありますので、ご自分の好みでお選びになるといいでしょう。
 
このコインは量産期への移行期に造られたものです。ある程度の摩耗がみられますが、平均を上回る好状態のコインです。お手持ちの「量産期のふくろう君」では満足できない方は手に入れてみてはいかがでしょうか。このコインが皆さんにとってラッキーコインになることをお祈りしています。