オンラインショップ「ときいろ」

ハンガリーのクレムニッツで1591年に発行された1ターレル銀貨です。肖像は神聖ローマ皇帝ルドルフ2世（在位1576-1612年）です。
 
1500年代のターレルはもともとさほど多く残っているわけではありませんし、あったとしても状態が悪いものが大半です。もちろん鑑定会社のケースに入って数字がつくものもありますが、このコインのようにMS(ミントステート：未使用状態)の評価がつくものは稀です。このコインは写真をご覧いただいてお分かりのように、文字・肖像ともはっきりと強く打たれており、洗浄や摩耗の痕跡もほとんど見られません。また全体的に好感の持てるトーンものっており、フィールド部分はオリジナルの光沢感を残しています。
ただ残念ながらおもて面のルドルフの鼻と、裏面のふちに刻印された年号1591の9の文字が二重打ちになっています二重打ちは当時の製造技術の未熟さによるもので、刻印が平金（ひらがね＝コインの元になる金属）に打たれる際、わずかに刻印側が横方向にずれること等によって起きる現象で、一般にこのコインの価値にさほど影響を与えるものではありません。
 
なお以下は、国内のある大手オークションに直近5回（2020年1月から2021年1月）出品された、すべてのターレル169枚の年代別の内訳です。

・1500年代：10枚（約6％）
・1600年代：76枚（約45％）
・1700年代：83枚（約49％）
 
さらに1500年代のターレル10枚を細かくみますと以下のようになっています。

MS：2枚（MS64が1枚、MS61が1枚）
AU：3枚（AU50,AU55,AU58それぞれ1枚ずつ）
VF/XF：2枚
数字なしDetails評価：3枚
 
上記のように1500年代のMSクラスのターレルは169枚のうちたったの2枚しかなく、その希少性がわかります。
 
またNGC社の鑑定分布をみますと、この銘柄の1591年銘は総鑑定数3枚しかありません、もちろんMS64は単独の最高鑑定です（2021年1月現在）。

店主はこの時代のターレルは評価不足ではないかと考えております。特にこのコインのように状態の良いものは滅多に市場に出てきませんので、もっと高く評価されてよいのではないでしょうか。