□状態:NGC-AU58(EF+)
ペルーで1767年に発行された8エスクードです。肖像は当時のスペイン王カルロス3世です。このタイプのカルロス3世は1763年から1768年にかけて発行されたデザインで、ご覧のように鼻がネズミのように真っすぐに伸びてとがっていることから「ラットノーズ(ネズミの鼻)タイプ」と呼ばれています。カルロス3世の8エスクードはたくさん残っていますが、ラットノーズタイプは大変な希少品です。
本貨はNGC社の鑑定でAU58の評価ですが、ラットノーズの8エスクードはもともと希少なうえに状態の良いものはさらに数は少ないです。たまにケースに入っていない裸のコインや、ケースに入っていても数字が付かないDetails評価のコインは見かけますが、このコインのようにしっかりと数字が付いて評価の高いコインはめったに出てきません。
NGC社の鑑定分布をみても、1763年から1768年の全年号あわせ、「数字付コインの総数」は48枚しかありません。なお以下はラットノーズ全年銘の上位鑑定枚数です。
MS62: 1枚
MS61: 3枚
AU58: 6枚 ←ココです
AU55: 13枚
AU50: 8枚
XF45以下: 17枚
数字付コインの鑑定総数(前年銘の合計): 48枚
さてこのコインですが、一般にこの時代の中南米のコインは(数多く打って)ヘタってしまったダイ(刻印)で打たれたものが多く、また製造機の性能が悪く打刻に難があるものが多いのですが、このコインは全体に均一の圧力で打たれておりデザインも明瞭です。
また裏表ともフィールド部分はオリジナルの輝きを残しています。残念ながら裏面の写真9/10をご覧のように、紋章の右側のフィールド部分に2~3ミリほどの僅かな陥没があって、これは平がね(コインを打刻する前工程で造った金の板)の、この部分が陥没していたことによって起きたと考えられます。「平がね破損」はこの時代の中南米コインにはよくみられる現象ですが、このコインの場合は軽微ですし、全体の見栄えに影響を与えるほどではありません。
また表面の拡大写真3をご覧いただておわかりだと思いますが、カルロス肖像の右側がホンの少し隆起していますが、これもコイン製造機の性能によって起きたもので、当時の中南米コインによくみられる現象です。
上記のようにいくつかの欠点はあるものの、なにぶん技術の点でも機械の性能の点でも十分ではなかった時代のコインで、ラットノーズの中では稀な状態だといっていいでしょう。この2年ほどで中南米の植民地金貨、なかでも本貨のように希少な銘柄や、状態の良いものは1.5倍ほどに値上がりした印象ですが、同時代のヨーロッパの大型金貨に比べるとまだまだ強い割安感があり、このコインもきっと良い投資になるでしょう。ご参考までにこの銘柄のKMカタログ評価はEF40で4,500ドルとなっています(Standard Catalog of World Coins 7th Edition)。
■サイズ:直径約36ミリ、重さ約27.1グラム
■このコインはアメリカの大手鑑定会社NGC社による鑑定済みコインですが、万一偽物と判明した場合、無期限に返品を受けさせていただきます。
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