□状態:ANACS-AU50(VF+程度)
このコインは古代インドのキダーラ朝で鋳造されたディナールとよばれる金貨です。
古代インドのクシャン朝はAD3世紀まで勢力を維持しましたが、カニシカ3世の時代(AD3世紀の終盤)あたりから他の部族の侵入をうけ弱体化します。このコインはクシャン朝に侵入したキダーラ朝のうち、ガダハラ(GADAHARA)と呼ばれる部族によって造られたディナール金貨です。
キダーラ朝のコインは、クシャン朝のディナールの形式を踏襲しておりデザインは似ていますが、描かれている文字の点ではクシャン朝時代と大きな違いがあります。クシャン朝時代のディナールは、主にカロシュティー文字とギリシャ文字が、コインのフチにそって刻印されていますが、ギターラ朝時代になると、ブラフミー文字で王や神の名前が、中国風の縦書きで刻まれます。おもて面は王様の立像と、王様の名前Yasadaの文字がブラフミー文字で書かれています。裏面はヒンドゥーの神様アドカショー(Ardoxsho)の座像です。
サイズは直径約18ミリ/重さは約7.5グラムで、現代コインと比べると小さいですが、古代は金の産出量が少なく、これが標準的なサイズです。このコインが発行されたギダーラの時代には、ローマ帝国の弱体化に伴ってローマのアウレウス金貨のサイズは小さくなってゆきますが、インドではクシャン朝のコインを踏襲し、しばらくはそのままのサイズで造られました。なお最近はディナールの相場も上がってきましたが、まだまだ過小評価されていると思います。
なお本コインはANACS社の鑑定済みコインで、同社のケースに入っております。ANACS社はアメリカのコロラド州で1972年に設立された、アメリカでもっとも古いコイン鑑定会社として信頼を得ています。同社の特徴の一つは古代インドの鑑定人がいる点で、ご覧のように評価を数字1〜70で行い、基準はPCGSやNGCの基準と同じです。なお現在ではANACS社はNGC/PCGSに次ぐ3番目のシェアを持っており、アメリカの大手オークションでも同社の鑑定済みコインは出品することができます。
現在のところ古代コインを鑑定できるのは、大手ではANACSしかありません。鑑定済みのクシャン朝ディナールはめったに市場に出てきません。
なお本貨に対するANACSの評価は、写真のようにAU-50ですが、これは古代インドコインに対する同社の平均を上回る状態です。表面、裏面ともに特に高い部分は摩耗が進んでいますが、両面ともセンターに打たれておりマズマズの状態だといえるでしょう。
■サイズ:直径約19ミリ、重さ約7.5グラム
■本貨は、アメリカで最も古い鑑定会社であるANACS社の鑑定済みケースに入っています。真贋は同社によって保証されていますのでご安心ください。
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